わたしたちは毎日、
たくさんのことをやりながら生きています。
仕事、家事、育児、人づきあい…。
やるべきことは次から次へとやってきますよね。
そんな”日常”の中で、ふとした瞬間に、
心の奥から声が聞こえてくることがあります。
「もう少し、ゆっくり休んでもいいんだよ」
「そんなにがんばらなくても、大丈夫だよ」
ただしこの声はとても小さいので、
気づかずに”日常”を通り過ぎてしまうこともあります。
でも、耳をすませば、ちゃんと心は伝えてくれています。
お釈迦さまは、「中道(ちゅうどう)」という生き方を説きました。
がんばりすぎず、怠けすぎず、ちょうどよいところを見つけること
その中には、「休むこと」もふくまれています。
きょうは、「ゆっくり休みなさい」と心が教えてくれているサイン5つを、
仏教の知恵といっしょに見つめてみましょう。
1.体が重くて、やる気が出ないとき
朝起きて、どうしても体が動かない。
好きなはずのことに手が伸びない。
そんなとき、「怠けている」と自分を責めたくなるかもしれません。
でも、もしかするとそれは、
体や心からの「休んでほしい」というメッセージです。
疲れがたまっているとき、
わたしたちの体はわざとスピードをゆるめます。
それは、もっとがんばるためではなく、
いま立ち止まるためのサインです。
お釈迦さまは、弟子たちが疲れきっているのを見て
「休みなさい」と声をかけたといいます。
休息も修行の一部なのです。
思い切って何もしない日をつくるのも、立派な自己管理です。
2.いつもよりも些細なことでイライラしてしまうとき
人の言葉にすぐ反応してしまう。
ほんの小さなことにも腹が立つ。
そんなときも、心はあなたに「休みなさい」と言っているのかもしれません。
仏教では「怒り」を、
心を乱す煩悩のひとつとして説きます。
怒りが出やすいときは、心が疲れているサイン。
いま必要なのは、怒りをしずめるよりも、まずエネルギーをため直すことです。
深呼吸をして、目を閉じる
心の中で「いま、つかれてるんだね」と自分に声をかける
早めに寝る・しっかり眠る
それだけで、少し気持ちがやわらぎます。
たった一晩でも、きっと心はすこし軽くなりますよ。
3.好きなことが楽しめなくなったとき
いつもなら心がときめくはずの音楽、映画、趣味の時間。
それがなぜか、ただの作業のように感じる。
そんなときも、心はあなたにブレーキをかけています。
仏教では「心は風のように変わる」といいます。
楽しめないのは、あなたが悪いからではなく、
いまの心が「休息」を求めているから。
まずは、体を休めること。
からだに良いものをしっかり食べて、眠って、体をあたためる。
そうすることで、きっと少しずつ「やりたい」という気持ちが戻ってきますよ。
4.気づくとぼんやりしてしまうとき
会話に集中できない
仕事の手が止まってしまう
頭の中が霧がかったみたいになる
それも、休息のサインです。
お釈迦さまは「正念(しょうねん)」
”いまここに心を置くこと”を大切にしました。
気づいたらぼんやりしてしまうときは、
心がここにいない証拠。
5分でもいいので、
静かに座って呼吸に意識を向けてみましょう。
それだけで、心が少しずつ「いま」に戻ってきます。
5.無性に泣きたくなるとき
理由はないのに涙が出てくる。
ちょっとした言葉で胸がいっぱいになる。
無理にがんばっているときに限って、
そんなときありますよね。
そんなときは、思いきって泣いてしまいましょう。
仏教では「涙は心を洗う水」ともたとえられます。
泣くことで心が静かになり、
また前に進む力が生まれますよ。
最後に
あなたの心が
「ゆっくり休みなさい」と伝えている瞬間は、
思ったよりたくさんあります。
どうかその声を無視せず、
そっと耳をかたむけてあげてください。
ゆっくり休んだあとのあなたは、
もっとおだやかに、”日常”を過ごせるはずです。
そしてそのおだやかさはきっとほかの人にも伝わり、
あなたの周りはきっとあたたかさで満たされるでしょう。
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