「怒りの火」を消すには、やさしさという水を

~ブッダの言葉に学ぶ心の静め方~

「また、怒ってしまった……」
「わたしは、なんて未熟なんだろう」

そんなふうに、自分を責めてしまう夜があるかもしれません。

ほんとうは怒りたくなかったのに…。
ほんとうは、もっとやさしくなりたかったのに…。

でも、感情はコントロールできるようでいて、
ふとしたきっかけで、思わぬ形であふれ出すことがあります。

それが「怒り」だったとき、わたしたちはとても苦しくなるものです。

この記事では、怒りの本質や対処法について解説します。

怒りの奥には、傷ついたこころがある

怒りというのは、じつは二次感情だと言われています。

つまり、怒りの下には、もっと別の感情がかくれているのです。

・わかってもらえない悲しみ
・否定されたようなさみしさ
・無視されたつらさ
・大切にされなかったという痛み

こうした感情が心の中にたまっていって、
「もうがまんできない」と思ったとき、
怒りが表に出てくるのです。

だから、「怒りっぽいあなた」がダメなのではなくて、
その怒りの奥には、だれにも気づいてもらえなかった、

「わたしの気持ち」

がずっと泣いていたのかもしれません。

怒りを抑えられないのは、がんばってきた証かもしれない

わたしたちは、社会の中で振舞うことを学んできました。

「怒ってはいけない」
「感情的になるのはよくない」

そう言われて育った人も多いでしょう。

でも、怒らないようにがまんして、がんばって、
それでも傷つくことが続くと、
限界がきてしまうことがあります。

「怒りが止まらない」と感じるとき、
それは「もうこれ以上、ひとりで耐えきれない」という
こころからのサインなのかもしれません。

そんなときは、怒りを責めるのではなく、
「よくここまで耐えてきたね」と、まずは自分に声をかけてあげてください。

怒りに気づいたら、まず呼吸をしてみる

感情が高ぶったとき、
わたしたちの呼吸は速く浅くなっています。

まずは深く息を吸って、ゆっくりと吐いてみましょう。
それだけで、こころは少し落ち着いてきます。

怒っているときは、相手に言いたいことがたくさん浮かんできます。
でも、すぐに言葉にしなくてもいいのです。

・紙に書き出してみる
・ひとりの場所で気持ちを整理する
・信頼できる人に話してみる

怒りのエネルギーを「そのまま」ぶつけるのではなく、
「自分の本音」に向き合うために使うこともできるのです。

「怒らない自分」より、「怒ってもいい自分」に

ブッダの教えには、

怒りをもって怒りを制すことはできない
愛によってのみ、怒りは癒される

とあります。

この言葉は、他人との関係だけではなく、
自分との関係にもあてはまります。

怒ってしま自分自分に、
「またダメだった」と責めるのではなく、
「それでも、わたしはわたしを大切にしたい」と
優しく声をかけてあげてください。

わたしたちは、完璧ではありません。
そして不完全なままでも、大切な存在です。

「怒らない自分」もまるごと認めていけたら、
すこしずつ、こころの風通しがよくなっていきますよ。

おわりに

怒りは、わたしたちの「たいせつなもの」を教えてくれます。

それは、
「わかってほしかった気持ち」や「まもりたかった心」
だったかもしれません。

もしも今日、怒りにとまどったとしても。

その気持ちにふたをせず、「わたし、怒っているんだね」と
気づいてあげるだけで、こころはゆるんでいきます。

そして、何より大切なのは、
そんな自分に「やさしくなること」。

怒ってし自分自分も、
すべてが「わたし」というひとつのいのち。

そのすべてに、どうか今日も、やさしさを向けてあげてください。

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